恐山

地　蔵　和　賛
　
これはこの世のことならず
死出の山路の裾野なる
さいの河原の物語
聞くにつけても哀れなり

二つや三つや四つ五つ
十にも足らぬおさなごが
父恋し母恋し
恋し恋しと泣く声は
この世の声とは事変わり
悲しさ骨身を通すなり

かのみどりごの所作として
河原の石をとり集め
これにて回向の塔を組む

一重組んでは父のため
二重組んでは母のため
三重組んではふるさとの
兄弟我身と回向して
昼は独りで遊べども
日も入り相いのその頃は
地獄の鬼が現れて

やれ汝らは何をする
娑婆に残りし父母は
追善供養の勤めなく

（ただ明け暮れの嘆きには）
（酷や可哀や不憫やと）
親の嘆きは汝らの
苦患を受くる種となる

我を恨むる事なかれと
くろがねの棒をのべ
積みたる塔を押し崩す

その時能化の地蔵尊
ゆるぎ出てさせたまいつつ

汝ら命短かくて
冥土の旅に来るなり
娑婆と冥土はほど遠し
我を冥土の父母と
思うて明け暮れ頼めよと
幼き者を御衣の　　
もすその内にかき入れて
哀れみたまうぞ有難き

いまだ歩まぬみどりごを
錫杖の柄に取り付かせ
忍辱慈悲の御肌へに
いだきかかえなでさすり
哀れみたまうぞ有難き

まあちゃさんの旅日記を見ながらこの歌を記録に留めたくて無断で借用しました。

この恐山はもう４０年前から一度行きたいと念願していたがいまだに行けないでいる、
まあちゃさんがいかれて旅日記にしるされたので興味深く読ませていただいた、
景色もさることながら霊魂の宿るこの地には人間の業も精神も全て含有しているとの
ことでありいわば人間の原点が地上に露出しているようである、先祖の霊が宿る恐山。
いつかはここへ行きたいといつも思う～　　　合掌。